「Webアプリケーションのモバイル/スマート・デバイス対応も見据え、まずはフロントから」──伊賀敏樹氏(いがぴょん)がJava EE 6への移行をすすめる理由

| May 16, 2013
開発生産性の向上や軽量化が図られ、従来から大きく刷新されたJava EE 6。WebLogic Serverなど主要なアプリケーション・サーバでの対応も進み、目の利くアーキテクトらは、その恩恵を享受すべくJava EE 6への移行に動き始めている。その1人、長年Java EE開発に携わってきたNTTデータビジネスブレインズの伊賀敏樹氏は、「Java EE 6の登場で、それまでの Java EEへの印象をいったんリセットする必要があると感じた」と語る。今後、需要が高まるモバイル/スマート・デバイス対応Webアプリケーションの開発効率改善も見据えてJava EE 6の採用を順次進めようとしている伊賀氏に、今、Java EE 6を試すべき理由、移行する理由を聞いた。(編集部)

かつては、EJBも Java EEもネガティブ扱いだった

 2013年2月に開催された「WebLogic Server 12c Forum 2013」のパネル・ディスカッション「Java EE 6の現在とJava EE 7、そしてその先へ」に登壇し、Java EE 6活用の現状について話してくれた伊賀氏。その中で氏は、「Java EE 6が登場し、それまでの Java EEに対する(ネガティブな)印象をいったんリセットする必要があると感じた」と語った。その理由、Java EE 6のどこに大きな価値を感じているのかを改めて聞いた。

 Java EEの黎明期より、「いがぴょん」のハンドル・ネームでIT系メディアやブログや書籍などを通じて技術情報の発信に努めるほか、各種オープンソース・フレームワークの開発にも尽力してきた伊賀氏。現在はNTTデータデータビジネスブレインズのシニア・スペシャリストとして、Java (more...)

「データベースへのアクセスを止めない」──WebLogic ServerでOracle RACの障害を検知し、システム停止を防ぐOracle MAA

ビッグデータ時代とも呼ばれる昨今、社内外のさまざまなデータを活用してビジネス上の価値を引き出したり、あるいはビジネス機会を補足したりするうえで、「常にデータにアクセスできること」の重要性はますます高まっている。アプリケーション・サーバからデータベースへの接続に関しても、従来のようにデータベースを二重化するだけではもはや不十分だ。いずれかのノードが故障した際、それをアプリケーション・サーバ側で素早く検知できなければ、結局はシステム停止時間が長引いてしまう恐れがある。オラクルが提唱する企業システムの高可用性アーキテクチャ「Oracle Maximum Availability Architecture(MAA)」では、この課題の解消策としてWebLogic Serverの「Active GridLink for RAC」の活用を提案している。その概要、利点を紹介しよう。(川添貴生)

ミッション・クリティカル・システムの高可用性を実現するアーキテクチャOracle MAA

 企業の事業活動のさまざまな領域でITが活用されるようになったことに伴い、企業システムを構成するハードウェアの故障やソフトウェアのトラブルなどによるシステムの停止が事業活動に及ぼす影響も年々大きくなってきた。特にビッグデータ時代とも呼ばれ、社内外のデータのリアルタイムな活用が企業の競争力に大きくかかわるようになってきた今日、障害などによるシステムの停止は、企業の業績そのものを大きく左右しかねない状況となっている。

 そこで重要性を増しているのが「システムの可用性」だ。ミッション・クリティカルな業務を担うシステムでは、サーバやストレージ、ネットワークの二重化などにより、単一障害点(Single Point of Failure)を解消するといった対応が図られることも珍しくなくなっている。

 ただし、場当たり的な対処では、真の意味で高可用性を実現することはできない。そこで、高可用性を実現するためのベスト・プラクティスとしてオラクルが提唱しているのがOracle MAAだ。

 Oracle MAAでは、ハードウェア障害やネットワーク障害、データ不整合、あるいはヒューマン・エラーなど、ミッション・クリティカル・システムの安定運用を阻害するさまざまな障害を想定し、それぞれについて適切な対策を講じることによってシステムの高可用性を確保する。

 例えば、データベースのハードウェア障害については、「Oracle Real Application Clusters(RAC)」を利用してデータベースをアクティブ/アクティブで冗長化することにより、いずれかのノードに障害が発生した場合でも、残りのノードで処理を継続することを可能にする。また、ストレージ障害にも対応できるよう、Oracle Automatic Storage Management(ASM)も利用する。このようなかたちで高可用性を実現し、ダウンしない、あるいはダウンしてもすぐに復旧するシステムを実現するのがOracle MAAの狙いである。

 オラクルは、このOracle MAAの一環として、WebLogic ServerとOracle Databaseの連携にも、高可用性を実現するためのテクノロジーを組み込んでいる。その具体例として挙げられるのがActive GridLink for RACだ。

アイドル時を利用した死活確認、SQLでの死活確認によるデータベース障害の検知には、いずれも課題が

 Oracle RACでは、Oracle Net Servicesに接続フェイルオーバーの仕組みが備わっており、RACインスタンスの1つに障害が発生すると、自動的に別のインスタンスに接続先が切り替わる。データベースにその都度接続するタイプのアプリケーションならば、この機能を使うことでインスタンス障害に対応することができる。

 しかし、アプリケーション・サーバの場合、その都度コネクションを張るのではなく、起動時にあらかじめ複数のコネクションを生成してプールに格納し、それを使い回す「コネクション・プーリング」の仕組みを使うのが一般的である。これにより、データベースに接続する度にコネクションを生成し、処理が完了したら切断するといった接続/切断の繰り返しに伴うリソースの浪費を防ぐわけだが、反面つなぎっぱなしになるため、データベースの障害を検知できないという問題がある。そのため、障害を検知してコネクションを張り直すための仕組みを何らかのかたちで用意しなければならない。

 具体的な実装方法としては、大別して2つの方法が考えられる。まず1つは、一定時間データベースへのアクセスがないタイミングを利用して、コネクションの死活を確認する方法。2つ目は、SQLを発行する前に、その都度コネクション確認用のSQLを発行するという方法だ。

 ただし、これらはいずれも、決して確実な方法とは言えない。例えば、始終データベースにアクセスするアプリケーションの場合、1つ目の方法ではインスタンスの死活を確認するタイミングがないため、結局は障害を検知することができない。2つ目の死活確認用SQLを毎回発行する方法ならば確実に障害を検知できるが、それによるSQLがデータベースの負荷を増大させてしまうというジレンマが生じる。

データベースの障害を即座に検知するActive GridLink for RAC

 さらに、RACを利用する際に考慮すべき問題として、それぞれのコネクションが、どのRACインスタンスに接続しているのかを把握できないことが挙げられる。

 例えば、RACインスタンス1から3までの3つのインスタンスがあり、インスタンス1に障害が発生したとしよう。

 このとき、コネクション・プール内のコネクション群のうち、どれがどのRACインスタンスに接続しているのかを把握していて、なおかつインスタンス1に障害が発生したことを検知できれば、該当のコネクションのみクローズし、インスタンス2やインスタンス3に接続するコネクションはそのまま生かすといった対処がとれる。

 しかし、コネクションとRACインスタンスの関係を把握できない場合、その必要がないコネクションについても「クローズ→再生成」を行ってしまい、エラーの発生や処理性能の低下を招く恐れがある。

(more...)

WebLogicの最速実行環境! ミドルウェア・マシン「Oracle Exalogic Elastic Cloud」の魅力【後編】

| Mar 24, 2013
オラクルが提供する「Engineered Systems」のラインアップの1つとして、高性能なハードウェアにOracle WebLogic ServerやOracle Coherence、Oracle Tuxedoといったソフトウェアを組み込んだミドルウェア・マシンが「Oracle Exalogic Elastic Cloud」だ。前編に続き、今回はこのOracle ExalogicがWebLogic Serverの実行基盤としていかに最適化され、アプリケーション実行環境として、また仮想環境として高い性能を発揮するのかを説明する。(川添貴生)

InfiniBandを利用した効率的なデータ転送

 前編で説明したように、ハードウェアとソフトウェアを融合し、それぞれを最適化したかたちで実現したシステムがEngineered Systemsの基本コンセプトである。Oracle Exalogicは、このコンセプトに基づいて開発されたアプリケーション実行環境だ。

 Oracle Exalogicの特徴の1つは、40Gbpsの帯域幅を誇るInfiniBandだが、これが採用された背景を、日本オラクルの鏑木崇之氏(Fusion Middleware事業統括本部 ソリューション本部 Cloud Application Foundationソリューション部 セールスコンサルタント)は次のように説明する。

日本オラクル Fusion Middleware事業統括本部 ソリューション本部 Cloud Application Foundationソリューション部 セールスコンサルタントの鏑木崇之
 「現状のハードウェアは、CPUの高速化が進む一方で、ネットワークやHDDのパフォーマンスは伸び悩んでいるのが実情だ。このように速度差が生じていることで、ネットワークおよびHDDがボトルネックとなり、高速なCPUの処理能力を使い切れない状態になっている。また、フロントのWebサーバやデータベースとのデータ通信、クラスタ間通信など、ネットワークI/Oが多発するミドルウェア・レイヤではボトルネックとなり、パフォーマンスなどに大きな影響を及ぼす。

 Oracle Exalogicは、この課題を3つのアプローチで解決している。まず1つは広帯域を持つInfiniBandの採用、2つ目はRDMA(Remote Direct Memory Access)やSDP(Sockets Direct Protocol)によるネットワーク・レイヤでの効率的なデータ転送、そして3つ目がソフトウェア・レイヤでの個別の最適化機能による効率的なデータ転送だ」

OSによるTCP/IP処理の問題を解決するRDMAとSDP

 前回も触れたように、Oracle ExalogicにはRDMAやSDP、そしてJava New I/Oといった技術を有効に利用するために「Exabus」と呼ばれる仕組みが組み込まれている。鏑木氏は、このExabusのコンセプトを次のように語る。

 「従来のI/O処理でTCP/IPを利用した場合、トランスポート層やネットワーク層はカーネルを通じて処理されることになる。ただ、TCP/IPの処理は負荷が大きいことに加えて、カーネルとアプリケーションのそれぞれのバッファでコピーが行われるため、その際のコンテキスト・スイッチが発生するなど、さまざまなオーバーヘッドが生じる。RDMAなどの技術を利用することで、このオーバーヘッドを解消しようというのがExabusのコンセプトだ」

 実際、Exabusを利用することにより、スループットを従来の4倍に高め、レイテンシは6分の1程度に抑えられるという。ネットワークを介してそれぞれに役割が異なる複数のコンポーネント間のデータ転送が多発するミドルウェア・レイヤでは、このパフォーマンス向上がもたらすメリットは極めて大きいだろう。

 Oracle CoherenceとOracle TuxedoでもExabusが使われており、Oracle Coherenceではノード間通信の高速化、Oracle (more...)

WebLogicの最速実行環境! ミドルウェア・マシン「Oracle Exalogic」の魅力【前編】

| Mar 18, 2013
ハードウェアとソフトウェアを融合させてケタ違いの性能と処理スケールを実現するシステム基盤群「Engineered Systems」のラインアップとして、オラクルはWebLogic Serverを核とするミドルウェア・マシン「Oracle Exalogic Elastic Cloud」を提供している。このOracle Exalogicが今日の企業にもたらすメリットは何か? 他のサーバ製品に対して技術面でどのような優位性を備えるのか? 2回にわたって説明する。(川添貴生)

「システムの複雑化」と「運用管理コストの肥大化」という課題を解決すべく登場した次世代のシステム基盤Engineered Systems

 今日、多くの企業のIT部門が直面している課題に、「運用管理コストの削減」がある。ただし、これを重要な課題と認識してはいても、なかなか解決が進んでいないのが実情だ。

 大幅なコストダウンが難しい理由はいくつか考えられるが、その要因の1つとして、マルチベンダーで構成された複雑なシステム環境が挙げられる。IT環境の構成要素としては、ストレージやネットワーク、サーバ、仮想環境、OS、ミドルウェア、アプリケーションなどがあるが、これらの各レイヤで開発元のベンダーが異なれば、それに伴ってシステムは複雑化し、管理コストもかさんでしまうわけだ。

 例えば、トラブル対応を考えた場合、複雑化したシステムでは原因の切り分けが困難であるうえ、どのベンダーに問い合わせるべきかの判断も難しくなる。再現環境を構築するのも容易ではないだろう。

 また、パッチの適用やバージョンアップも大変な作業になるのは想像に難くない。これらの作業は他のレイヤへの影響を考慮して進める必要があるが、どの範囲にどういった影響が生じるのかを見極めるのは容易ではないからだ。そうすると、必然的に確認すべき範囲が広がり、大がかりなテストが必要となってしまう。

 結局、これらの作業が運用担当者やSIerへの大きな負担となり、それが運用管理コストの増大につながるわけである。

 以上のような課題を解決すべく今日、オラクルが提唱しているのがEngineered Systemsというシステム基盤群だ。これはハードウェアとソフトウェアを高いレベルで融合し、レイヤごとの個別最適ではなく、各レイヤをまたいだ全体最適化を行うことで性能向上を図り、さらにシステムの複雑化を解消して運用管理コストを削減するというコンセプトの下に開発された製品群である。このEngineered Systemsのラインアップの1つとして、データベース・マシン「Oracle Exadata」に続いて投入されたのが、ミドルウェア・マシンのOracle Exalogicなのである。

圧倒的なパフォーマンスに加えて運用管理コストの削減をもたらすOracle Exalogic

 Oracle Exalogicは、Javaで開発されたアプリケーションやオラクルのOracle Applicationsなど、各種アプリケーションの実行基盤となるべく開発された。ソフトウェア(Exalogic Elastic Cloud Software)として組み込まれているのは、アプリケーション・サーバのWebLogic Server、インメモリ・グリッドのOracle Coherence、トランザクション・モニタのOracle Tuxedoなどで、これらが仮想化基盤である「Oracle VM for Exalogic」やOSの上で動作する。

 最新版である「Oracle Exalogic X3-2」では、8コアCPUのIntel Xeon Processor E5-2690を採用しているほか、1ノード当たり256GBのDRAMを搭載するなど、さらにパフォーマンスを高めている。また、サーバやストレージなど内部コンポーネント間の通信には40Gpbsの広帯域を持つInfiniBandを使用するほか、SSDをフルに活用した高速なストレージも併せ持つなど、ハードウェア面でも最新の技術が惜しみなくつぎ込まれている。

 このOracle Exalogicについて、「“運用管理負担の軽減”という観点で見た場合、企業にとって大きなメリットとなるのがサポート窓口の一元化だ」と話すのは、日本オラクル Fusion Middleware事業統括本部の田中克哉氏(ビジネス推進本部 製品戦略部 担当ディレクター)である。

Oracle Exalogicの導入メリットを説明する日本オラクル Fusion (more...)

“いま”そして“これから”のJava EEに、開発者はどう取り組むべきか?【後編】──「WebLogic Server 12c Forum 2013」レポート

| Mar 10, 2013
2013年2月1日、日本オラクルは都内で開催された「WebLogic Server 12c Forum 2013」において、国内ユーザー企業などでJava EE開発に取り組むアーキテクトや米国オラクルのJava EE担当幹部らがJava EE開発の現在、そして未来について語るパネル・ディスカッション「Java EE 6の現在とJava EE 7、そしてその先へ」を実施した。そのレポートの後編となる今回は、「Java EE 6の海外での採用状況」、「Java EE 6への具体的な取り組み方」、そして間もなくリリースが予定されている「Java EE 7への期待」に関する議論を紹介する。(編集部)

前編はコチラ

対応製品も充実し、世界中で普及が進むJava EE 6

 パネル・ディスカッションの前半では、三菱UFJインフォメーションテクノロジーの斉藤賢哉氏(ITプロデュース部 部長)、NTTデータビジネスブレインズの伊賀敏樹氏(ビジネスソリューション事業部)が、Java EEとのこれまでのかかわりと、Java EE 6への取り組みから得られるメリットについて見解を述べた。モデレーターを務めた日本オラクルの伊藤敬氏(Fusion Middleware 事業統括部 ビジネス推進本部)は、「日本では、これからJava EE 6が実案件に使われていく状況」だとしたうえで、米国オラクル・コーポレーションのマイク・リーマン氏(Fusion Middleware Prduct Management担当シニア・ディレクター。Java EEの開発統括も担当)に、米国をはじめとする諸外国でのJava EE 6の採用状況を聞いた。

 リーマン氏によれば現在、商用やオープンソースのものを合わせて10以上のアプリケーション・サーバがJava EE 6に対応している。特にオープンソース・プロダクトが対応したことで、Java EE 6の普及にさらに弾みがついたという。

米国オラクル・コーポレーション Fusion Middleware Prduct Management担当シニア・ディレクターのマイク・リーマン氏
 実際の開発現場でのJava EE 6の普及状況については、地域差が見られるようだ。米国では早いペースで導入が進む一方、ヨーロッパではJava EE 5が広く普及していることもあり、新規プロジェクトにおけるJava EE 6の採用割合は5割程度。世界全体を見るとJava EE 6の導入ペースは速まっており、特にアクティブなJavaコミュニティが存在する南米などでは、その傾向が顕著だという。

 「我々は現在、Java EE 6をどう普及させていくべきかについて考えている。特に日本のようにStrutsやSpring Frameworkの使用割合が高い地域では、Java EEが業界標準の技術をベースにしていることや、他のフレームワークが独自にカバーしている機能を標準機能として取り込んでいること、必要に応じてJava EE 6をコンテナとして使い、その上で他のフレームワークを利用できることなどを、もっと多くの方に知っていただく必要があると感じている。

 従来、独自に作り込んでいた機能が標準機能としてアプリケーション・サーバ側に用意されることに安心感や開発/保守コストの削減といったメリットを感じる企業、従来のアプリケーション資産を保護しつつ、新規システムでは最新の技術を利用したいという企業には、開発生産性の高さという面でも、Java EE 6が非常に魅力的な選択肢として映るはずだ」(リーマン氏)

JSF 2.0、Faceletsで劇的に高まる開発生産性

 続いては、実案件でJava EE 6を活用している伊賀氏、斉藤氏が、それによって得られるメリットを、具体的な機能を交えて紹介した。

 前編でJava EE 6のFaceletsをお気に入りの機能に挙げた伊賀氏は、その理由として「Ajaxとの高い親和性」、「Composite Componentsによる高い生産性と保守性」、「仕様そのものに由来するセキュリティの高さ」を挙げる。

NTTデータビジネスブレインズ ビジネスソリューション事業部の伊賀敏樹氏
 「FaceletsのComposite Componentsは、部品の集合をコンポーネントとして再利用するための仕組み。これを使うことにより、Webページ間での部品の使い回しが非常に簡単になる。旧来のJava EEや他のフレームワークではなかなか生産性が上げられなかった部分を、極めて高い生産性で実現してくれるので、一度使えば、その便利さに驚くはず。

 また、Faceletsはその仕様から、デフォルトでも非常にセキュアな作りになっている。昨今、企業システムに対する不正アクセスが大きな脅威として強く認識され始めており、今後はアプリケーションのセキュリティ・レベルを高く維持することが、これまで以上に強く求められるようになる。Strutsの場合、そのために多くの工数が必要になるケースが見受けられるが、その点でもJava EE 6のFaceletsを採用することには非常に大きなメリットがある」(伊賀氏)

 伊賀氏は、こうしたFaceletsのメリットを強調したうえで、「新たにアジャイル開発に取り組む場合や、既存のアプリケーションをモバイル/スマートフォン対応にする場合、そして実験的かつ小規模なWeb開発プロジェクトを立ち上げる場合などが、Faceletsの採用を検討する絶好の機会になるはず」とアドバイスし、その活用を勧めた。

 一方、斉藤氏は伊賀氏の言葉を受けて「Composite Componentは、生産性の面で非常に利用価値が高い。私が現在進めているプロジェクトでも積極的に活用している」と語ったうえで、Faceletsを含むJava EE 6のJSF 2.0が、アプリケーションの開発パターンをどう変えるのかを説明した。

 近年のWebアプリケーション開発では、さまざまなJavaScriptフレームワークが登場するなど、クライアント・サイドの技術の変化が激しくなっている。その中で、今後のWebアプリケーション開発のパターンとしては「大きく3つが考えられる」だろうと斉藤氏は指摘する。その3つのパターンとは、次のようなものだ。

(1)JSF 2.0でHTMLとJSFタグの埋め込みを活用するパターン
(2)JSF 2.0上でリッチなUIコンポーネントを使って開発を行うパターン
(3)JavaScriptフレームワークとJAX-RSを組み合わせて利用するパターン

(more...)

“いま”そして“これから”のJava EEに、開発者はどう取り組むべきか?【前編】──「WebLogic Server 12c Forum 2013」レポート

Java EE 6がリリースされて約3年、Java EE 6対応のWebLogic Server 12cがリリースされて約1年が経過した今日、エンタープライズ・システム開発の世界において、Java EE 6はどう評価され、利用されているのか? また、2013年春のリリースが予定されているJava EE 7に対して、エキスパートらはどのような期待を抱いているのか?──これに関して、国内ユーザー企業などでJava EE開発に取り組むアーキテクトらが本音を語ったのが、2013年2月1日に都内で催された「WebLogic Server 12c Forum 2013」におけるパネル・ディスカッションだ。その模様を2回にわたって紹介しよう。(編集部)

Java EE 6を現場で利用するアーキテクトらが“本音”を語る

 港区のオラクル青山センターで開催されたWebLogic Server 12c Forum 2013では、現在、そしてこれからのJava EE開発について、日ごろ国内企業でJava EEによるエンタープライズ・システム開発に従事しているアーキテクトらと米国オラクル幹部らによるパネル・ディスカッション「Java EE 6の現在とJava EE 7、そしてその先へ」が行われた。

 パネリストとして参加したのは、三菱UFJインフォメーションテクノロジーの斉藤賢哉氏(ITプロデュース部 部長)、NTTデータビジネスブレインズの伊賀敏樹氏(ビジネスソリューション事業部)、WebLogic Server 12c Forum 2013の基調講演のために来日した米国オラクル・コーポレーションのマイク・リーマン氏(Fusion Middleware Prduct Management担当シニア・ディレクター)、日本オラクルでシニアJavaエバンジェリストを務める寺田佳央氏の4名だ。モデレーターは日本オラクルの伊藤敬氏(Fusion Middleware 事業統括部 ビジネス推進本部)が務めた。

 斉藤氏と伊賀氏は、それぞれアーキテクトの立場でJava EE開発にかかわるとともに、関連書籍の執筆や雑誌への寄稿、オープンソース・ソフトウェアの開発といった側面からも国内におけるJava EEの普及/啓蒙に大きな役割を果たしているエキスパートだ。

三菱UFJインフォメーションテクノロジー ITプロデュース部 部長の斉藤賢哉氏
 昨年のWebLogic Server 12c Forumにも登壇した斉藤氏は、銀行の情報系システムの構築で必須となるミドルウェアの導入にあたり、「ロックインが懸念されるベンダー固有の技術ではなく、オープンな仕様であり、長く安心して取り組める技術」としてJava EEとのかかわりをスタートした。そして、2005年のJavaOneで発表されたJava EE 5が旧来のJava EE(J2EE)と比べて開発生産性の面で大きな進歩を遂げたことに感銘を受け、これを国内でも普及させるべく、日本語によるJava EE 5の解説書として『マスタリングJava EE 5』の執筆に取り組む。現在では、ITプロデュース部で三菱UFJフィナンシャル・グループのクラウド基盤の運用、先端技術の研究開発に従事するかたわら、Java EEに関する書籍の執筆や雑誌への寄稿などを行っている。

 一方の伊賀氏は、SIerのフレームワーク開発者として本業であるシステム構築を行う傍ら、開発技術に関するテクニカル・ライターやオープンソース開発者として「いがぴょん」のハンドル・ネームで知られている。ネットでの情報発信、メディアへの寄稿のほか、開発フレームワーク「blanco Framework」のコミッター、「Pleiades」、「Benten」、「マスカット」といったオープンソース・プロジェクトへの参画、「Eclipse」の日本語化などに携わっている。

NTTデータビジネスブレインズ ビジネスソリューション事業部の伊賀敏樹氏
 伊賀氏は、WebLogic Serverをオラクルが買収する以前の黎明期から「最も安心して使えるアプリケーション・サーバの1つとして愛用してきた」というが、以前のJava EEに関しては、「初期のJSF 1.xやEJBになじめず、どちらかというとStrutsのようなフレームワークのほうが好きだった」と振り返る。しかしながら、Java EE 6の登場以降は、「これまでのJava EEに対する印象を、一度リセットする必要があると感じた。特にJSFは今では大好きな技術の1つ。小規模な案件でJava EE 6とFaceletsの組み合わせを採用するケースも出てきている」と話す。

Java EE 6の利用価値は?

 Java EE 6がリリースされて3年。その評価も次第に定まりつつあり、米国をはじめとする海外では、日本に先行するかたちで実案件への採用が進んでいる。モデレーターの伊藤氏は、改めてJava EE 6を利用すべき理由と、それによって得られる価値についてパネリストらに意見を求めた。

日本オラクルのシニアJavaエバンジェリスト、寺田佳央氏
 Javaエバンジェリストの寺田氏は、Java EE 5からJava EE 6への進化における大きなメリットとして、「開発生産性の向上」と「必要とされるライブラリのJava EEへの包含」の2点を挙げる。

 「Java EE 5は確かに従来からの大きな進化だったが、開発生産性を高める点、特にアノテーション・ベースでの開発が可能な範囲やDI(Dependency Injection)の実装などに関しては未熟な部分もあった。その点、Java EE 6では、より完成度が高まり、必要なものが取り込まれている」(寺田氏)

 斉藤氏は、現在進行中のプロジェクトの中でJava EE 6に取り組んでいる経験に基づき、「Java (more...)